横須賀・ドブ板通りでスカジャンを探すなら、MIKASA(ミカサ)は外せない一軒です。
戦後に米兵向けとして販売されたスカジャンの当時のデッドストックをいまだ保有するほど長い歴史がありながら、店内と公式通販にはテーラー東洋や港商の新品、「三笠謹製」のオリジナルモデルが並び、オーダーでスカジャンを制作することも出来ます。昔のスカジャンを保存するだけの老舗ではなく、その蓄積を現代の一着へつなげている店です。
今回はMIKASAの歴史、品ぞろえ、オーダーメイドの特徴など、確認できた資料をもとに紹介します。

横須賀のMIKASAとは?
MIKASAを運営するHH商会のルーツは、明治時代にドブ板通りで始まった「一本酒店」。MIKASA公式サイトによると、1951年に横須賀基地へ寄港した米兵向けのスーベニアショップを開き、場所や業態を変えながら70年以上にわたってスカジャンや洋服を扱ってきました。
戦後のドブ板通りは、米兵が帰国時に持ち帰る土産物を探す場所でした。虎、龍、鷲、日本地図などを刺繍したジャケットもそこで売られ、やがて「スカジャン」と呼ばれるようになります。MIKASAは、その時代から現在まで続くスーベニア文化の当事者の一つです。
スカジャン誕生の背景を先に知りたい方は、「スカジャンとは? 名前の由来や歴史を徹底解説」もあわせてご覧ください。
戦後のデッドストックを保有する「生きた資料庫」
MIKASAの大きな特徴は、戦後に米兵向けのお土産として販売されたスカジャンのデッドストックを保有していることです。単に古着を仕入れて販売してきたのではなく、初期のスカジャンがどのような生地、配色、刺繍で作られていたのかを、実物とともに見続けてきた店だといえます。
2022年に横須賀美術館で開かれた「PRIDE OF YOKOSUKA スカジャン展」でも、1950年代後半から1960年代中期にあたるMIKASA所蔵のデッドストックが紹介されました。店舗のコレクションが、横須賀と米軍基地の歴史を伝える資料として扱われた形です。
伝統はある。でも、品ぞろえはかなり今っぽい
老舗と聞くと、昔ながらの派手なスカジャンだけを扱う店を想像するかもしれません。しかし、MIKASAの面白さは、ヴィンテージの知識を土台にしながら、現代の服装に合わせやすい商品を積極的に企画しているところにあります。
テーラー東洋・港商の現行モデルが充実

MIKASAでは、ヴィンテージ復刻で知られるテーラー東洋の現行スカジャンを数多く取り扱っています。別珍、アセテート、中綿入り、薄手、エイジングモデルに加え、港商とバズリクソンズのスペシャルエディションなど、時期によって幅広いモデルを比較できます。
オーダーの完成を待つ前に既製品を試したい人や、テーラー東洋のサイズ感・生地感を実物で比べたい人にも立ち寄りやすい店です。
テーラー東洋の成り立ちや港商商会との関係は、「テーラー東洋と港商商会の歴史」で詳しく紹介しています。
三笠謹製は「着やすいスカジャン」を形にしている
MIKASAのオリジナルライン「三笠謹製」には、富士山と桜、龍を組み合わせた戦後の代表的な「花龍」を、色数を抑えて現代的に見せたモデルがあります。
たとえばブラックの身頃と袖に、淡い単色の刺繍を合わせた薄手モデルは、スカジャンに興味はあるものの「派手でコーディネートが難しそう」と感じる人の声から企画されたもの。別珍の黒刺繍モデルも、伝統的な花龍を使いながら、マットな黒で普通のジャケットのように合わせやすく仕上げています。

図案そのものを別物にするのではなく、刺繍糸の色、生地、厚み、シルエットを調整して今の服装へ寄せる。このバランス感覚が、MIKASAらしさだと思います。
還暦祝いをスカジャンにした「還ジャン®」
赤いちゃんちゃんこの代わりにスカジャンを贈る「還ジャン®」も、歴史を今の需要へつなげたMIKASAらしい商品です。胸には干支の図案、背中には名前や愛称を刺繍でき、節目の一着としてセミオーダーできます。
MIKASAではどんなスカジャンをオーダーできる?

MIKASAは、用意された仕様から選ぶパターンオーダーだけでなく、スカジャン柄の絵師と組んで新しい図案を描き起こすフルオーダーにも対応しています。
- 自分の好きな動物、土地、思い出を図案にする
- 会社・チーム・イベントの記念品を作る
- クリエイターのキャラクターをスカジャン化する
- 名前や愛称を入れたプレゼントを作る
既存の龍や虎から選ぶだけではなく、「何を一着に残したいか」から相談できるのが特徴です。素材、色、刺繍範囲、図案の描き起こしなどで金額と納期は変わるため、現在の条件は公式サイトのオーダーフォームで確認するのが確実です。
なお、完成品として販売されている三笠謹製の一部商品は、購入後の名前刺繍に対応していません。オリジナル要素を入れたい場合は、既製品の購入前にオーダー品として相談しましょう。
花澤香菜さん・東野幸治さんの制作事例
花澤香菜さん:声優デビュー20周年のオリジナルスカジャン
2023年、花澤香菜さんの声優デビュー20周年を記念したオリジナルスカジャンが数量限定で販売され、その制作をMIKASAが担当しました。花澤さん本人がMIKASAを訪れ、完成品を受け取る様子も公式YouTubeで公開されています。
これは店頭での個人的な私物オーダーというより、周年記念商品としてMIKASAが制作を担った事例です。個人客だけでなく、アーティストやコンテンツの企画を一着のスカジャンへ落とし込めることが分かります。
東野幸治さん:メキシコをテーマにしたフルオーダー
東野幸治さんは2023年、自身のYouTube企画「東野デニム」でMIKASAを訪れ、人生初のスカジャンをフルオーダーしました。
選んだテーマはメキシコ。黒い別珍ボディの前面にシュガースカル、背面にはメキシコ地図とスペイン語のメッセージを配した、一般的な虎・龍とはまったく違う一着です。図案を手がけたスカジャン絵師・横地広海知さんの制作事例にも、東野さんのオーダーメイド品として掲載されています。
注文時の動画では、見積もりは約15万円、完成までの目安は最短3〜4か月と案内されていましたが、その後の完成動画は約半年後に公開されました。これは2023年の個別事例であり、現在の標準価格や納期ではありません。オリジナル図案の内容や工房の状況によって変わると考えておくのがよさそうです。
MIKASAはこんな人におすすめ
- 歴史のある横須賀の店で買いたい人:戦後のスーベニア文化を知る店で相談できます。
- 派手すぎないスカジャンを探している人:単色刺繍や黒刺繍など、現代の服装に合わせやすい三笠謹製があります。
- テーラー東洋の新品を比較したい人:素材や厚みの異なる現行モデルを扱っています。
- 自分だけの図案で作りたい人:絵師と連携したフルオーダーまで相談できます。
一方で、昔ながらの一店舗一職人という雰囲気だけを求めるなら、同じドブ板通りのプリンス商会も比較したいところ。完成品の選択肢、オリジナル商品、フルオーダーを一か所で見たい人には、MIKASAが特に向いています。
MIKASAの店舗情報
| 店名 | MIKASA(ミカサ) |
|---|---|
| 住所 | 〒238-0041 神奈川県横須賀市本町2-7 |
| 電話 | 046-823-0312 |
| 営業時間 | 11:00〜18:00 |
| アクセス | 京急「汐入」駅から徒歩5分/京急「横須賀中央」駅から徒歩10分/JR「横須賀」駅から徒歩15分 |
| 通販 | MIKASA公式ウェブストア |
| オーダー相談 | 公式サイトのフォーム・LINE |
※店舗情報・在庫・オーダー条件は変更される場合があります。来店前に公式サイトや公式SNSで最新情報をご確認ください。
まとめ:歴史を飾るのではなく、次の一着へ使う店
MIKASAには、戦後のデッドストックを保有する老舗としての厚みがあります。しかし、本当の魅力は古さだけではありません。
テーラー東洋や港商の現行品をそろえ、三笠謹製では伝統的な花龍を着やすい色へ再構成し、さらにフルオーダーでは一人ひとりの物語を新しい図案にする。歴史を保存しながら、スカジャンを今着たい服として更新している店です。
横須賀で「既製品を試したい」「自分だけの一着も相談したい」の両方をかなえたいなら、まず訪ねてみたい一軒です。
主な参照資料:MIKASA公式サイト/MIKASA公式ウェブストア/PONY CANYON NEWS「花澤香菜オリジナルスカジャンが数量限定で発売決定!」/東野幸治 YouTube「人生初のスカジャン買います!」/東野幸治 YouTube「完成したスカジャンを受け取りました!」/横地広海知「制作事例」/はまれぽ「横須賀美術館『スカジャン展』の魅力に迫る」(2026年10月12日確認)

