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ドブ板コーバスタジオとは?山上大輔氏が横須賀でつなぐスカジャン文化

ドブ板コーバスタジオが制作した龍のスカジャンを着用する人物

横須賀・ドブ板通りにある「ドブ板コーバスタジオ(DOBUITA KOBA STUDIO)」は、単なるスカジャン販売店ではありません。店主の山上大輔さんは、一着もののスカジャンを作る刺繍職人であると同時に、横須賀の街にスカジャン文化を根づかせ直そうとしている人物です。

そこには、ファースト商会の松坂良一さんや桐生の刺繍家・大澤紀代美さんから受け取ったもの、そして次の世代へ技術を渡そうとする活動があります。今回は刺繍技法そのものよりも、山上さんの歩みと、横須賀で生まれている人のつながりを中心に紹介します。

ドブ板コーバスタジオが制作した龍のスカジャンを着用する人物
▲ 横振り刺繍で龍を大胆に描いた、ドブ板コーバスタジオのスカジャン。(画像引用・出典:newcal(京急沿線おでかけサービス))
目次

ドブ板コーバスタジオとは?

横須賀ドブ板通りにあるドブ板コーバスタジオの店舗外観
▲ 横須賀・ドブ板通りに構えるドブ板コーバスタジオ。工房とギャラリーを兼ねた店として始まった。(画像引用・出典:newcal(京急沿線おでかけサービス))

ドブ板コーバスタジオは、2022年に横須賀・ドブ板通りでオープンした、刺繍工房兼ギャラリーです。

「KOBA」は町工場のような温かさを、「STUDIO」は制作だけでなく刺繍の価値を発信する場所を表した名前です。商品を所狭しと並べる一般的なスカジャン店とは異なり、白い空間にミシンと作品を置く、制作と発信の拠点として構想されました。作品の制作・販売だけでなく、展示や後進育成、地域への発信を行う現在の活動にも、その名前に込めた考えが表れています。

山上大輔さんは、どうやって刺繍職人になったのか

龍のスカジャンを手にするドブ板コーバスタジオ店主の山上大輔さん
▲ 自身が手がけた龍のスカジャンを持つ、店主で刺繍職人の山上大輔さん。(画像引用・出典:newcal(京急沿線おでかけサービス))

山上さんは1990年、福岡県北九州市生まれ。2015年に横須賀へ移り住みました。幼い頃から、ミシンを仕事にしていた祖母の影響で刺繍に関心があったといいます。デザイン関係の仕事をしていた時期に転機となったのが、ドブ板通りのオーダースカジャン店「ファースト商会」との出会いでした。

自身が描いたイラストを店主・松坂良一さんへ持ち込み、スカジャンへの刺繍を依頼。完成した図案の再現度だけでなく、機械的に整いすぎていない、人が試行錯誤した跡に強く惹かれたそうです。その後、松坂さんからミシンの基本操作や横文字の入れ方を学びました。詳しくはファースト商会の記事でも紹介しています。

さらに2019年には、群馬県桐生市の伝統工芸士であり、横振り刺繍の第一人者として知られる大澤紀代美さんに師事。開店後も横須賀から桐生へ通いながら研鑽を続けていました。松坂さんからスカジャンに宿る人の味を、大澤さんから刺繍を作品へ高める技術と姿勢を受け取ったことが、現在のコーバスタジオにつながっています。

ドブ板へ店を構える以前には、横浜・黄金町のアーティスト・イン・レジデンスで約5年間活動。地域課題や伝統工芸の継承と向き合った経験もありました。だから山上さんの活動は、一着を完成させるところで終わらず、「街の文化をどう残すか」へ広がっていきます。

目標は「横須賀市民がスカジャンを語り、虎を縫える街」

横振りミシンで龍の刺繍を施している様子
▲ 店では作品制作だけでなく、子どものワークショップや次世代の作り手の育成にも取り組む。(画像引用・出典:newcal(京急沿線おでかけサービス))

山上さんは、神奈川県の地域人材事業「MIURAHUNT!」で、「横須賀市民なら誰もがスカジャンについて語れ、自分で虎の刺繍を縫える街になったら面白い」という趣旨の将来像を掲げています。

この言葉から分かるのは、目指しているのが有名店になることだけではない点です。スカジャンを観光客向けの商品で終わらせず、住んでいる人が自分の街の文化として語り、触れられる状態を作ろうとしています。

子どもと地域に開く

店では、子どもが持ち寄ったイラストを山上さんが刺繍するワークショップを実施してきました。すぐに職人を育てるのではなく、成長したあとに刺繍の記憶を思い出してもらうための入口づくりです。天候のよい日には店先で実演も行い、通りを歩く人が手仕事を見られる環境を作っています。

横須賀の行事や表彰を、スカジャンで可視化する

横須賀市スポーツ大賞や高校ストリートダンスグランプリでは、スカジャン絵師・横地広海知さんが描いた図案をコーバスタジオが刺繍し、受賞者へ贈る記念スカジャンを制作しています。また、コーバスタジオの白波虎や鷹は、地域イベント「横須賀トモダチジャズ」のポスタービジュアルにも採用されました。服を作る工房の仕事が、横須賀らしい祝福や街の顔として使われ始めています。

コーバスタジオの鷹柄スカジャンが掲載された横須賀トモダチジャズ2026のポスター
▲ コーバスタジオの鷹柄が街のイベントの顔に。「横須賀トモダチジャズ2026」の公式ポスター。(画像引用・出典:横須賀トモダチジャズ2026公式サイト)

次の作り手を育てる

ドブ板コーバスタジオで横振り刺繍の練習生を指導する山上大輔さん
▲ スタジオで練習生を指導する山上大輔さん。横須賀に刺繍文化を残すため、後進育成に取り組んでいる。(画像引用・出典:レアリア)

2024年には、業界では珍しい練習生の公募を実施。市内外から十数人が応募し、同年12月ごろから指導が始まりました。2026年には、成長した一期生と有志の二期生による「スカジャン卒展」も企画されています。過去の図案をそのまま再現するのではなく、100年後に残る新しい定番を考える「New Classic」がテーマです。

また、2022年の横須賀美術館「スカジャン展」への出品、2024年の文化学園服飾博物館での展示・実演、横須賀市のふるさと納税返礼品への採用など、活動の場所は店舗の外にも広がっています。店、街路、行政の事業、美術館、次世代の教育が一本につながっている点に、コーバスタジオの面白さがあります。

コーバスタジオでオーダーするには

オーダーメイドは基本的に事前予約制で、公式Instagramなどから相談できます。来店が難しい場合は、メールやSNSで写真・イラストを共有しながら進めることも可能です。

newcalが2026年4月に掲載した価格例は、ジャケット代11,000円〜、後身頃の特大刺繍代44,000円(税込)。図案や仕様によって変わるため、納期とあわせて注文時に最新情報を確認してください。

店舗情報

店名ドブ板コーバスタジオ(DOBUITA KOBA STUDIO)
住所神奈川県横須賀市本町2-1
電話046-890-6041
営業時間11:00〜18:00
定休日水曜日
アクセス京急「横須賀中央駅」から徒歩7分
公式情報公式サイト/Instagram
営業時間・定休日は2026年10月確認。来店前に最新情報をご確認ください。

スカジャンを作る店から、文化を作る場所へ

山上さんは、松坂良一さんや大澤紀代美さんから技術と精神を受け取り、地域の作り手と新しい仕事を生み、さらに次の世代へ渡そうとしています。

ドブ板コーバスタジオの魅力は、刺繍が上手いことだけではありません。スカジャンを「昔からある横須賀土産」で止めず、表彰、音楽、教育、美術へ持ち出し、現在進行形の地域文化へ変えようとしていること。

主な参照先

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